후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
汐止の堀端で、兵庫介に眼をやられたとき、船頭たちは船の上から眺めていた、と六郎兵衛は思った。すると、激しい屈辱感のためにするどく胸が痛み、憎悪が血管の中で脈を搏った。ふしぎなことには、そのときのことを思いだすたびに、兵庫介にやられたことより、その船頭たちに「眺められていた」ということのほうが、彼を深く傷つけ、骨がきしむほどの屈辱感を与えるのであった。
「石川は男らしくやった」六郎兵衛は口の中で呟いた、「男らしく勝負をして、そしておれが負けたのだ、だが、黒田玄四郎、――あいつはおれを憐れんだ、おれを哀れに思って、酒をふるまい、金まで恵んでいった」
金を恵まれた、ということが、六郎兵衛の思考を大きく転換させた。
――これまでだな。
柿崎六郎兵衛もこれまでらしいな、と彼は思った。彼はいまでも元の道場に住んでいるが、この半年のあいだに金は遣いはたしたし、雇人も置けないから荒れ放題に荒れて、近所では「むじな屋敷」などと呼んでいるようであった。
――みやのやつがそういうことだとすると、あとは乞食でもするほかに生きる方法はない。
黒田に金を恵まれたのは、乞食の第一歩が始まったことだ。