후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
その部屋の廣さは畳数で十畳ほどもあろう。粗末な板張りの座敷ではあるけれども、枕上のところに仮りの床の間が設けてあって、八幡大菩薩の軸が懸っている。床脇に据えた持佛の厨子には不動明王が安置してある。その外室内の装飾の様子、太刀や物具や刀掛けのきらびやかさ、金銀の蒔絵をした調度類の贅沢さから推して、こゝが普通の侍の詰所でないことは疑う餘地がない。ましてその男は、大将髷に束ねた頭をつや/\と光る黒漆の枕に載せて、緞子とか綸子とか云うものらしい絹の夜着を着ているのである。法師丸は弾正政高の年齢や風采について何の豫備智識も持っていないのだが、見たところその男の年は五十前後のように思われる。額のひろい、上品な瓜実顔の、のっぺりした皮膚が優雅な目鼻立ちを包んでいて、寝顔で判断すると、武士と云うよりは公卿のような印象を受ける。此の年頃の武士ならば、大概日に焼けた頑丈な肌をして、何処かに戦場往来の俤を留めているものだのに、その寝顔の皮膚は、浅黒いながらも鏡板を拭き込んだようで、透かして見ると鳥の子紙のように肌理が細かい。こう云う皮膚は、雨に曝され風に打たれつゝ馬背に日を暮らす武人のものでなく、深窓に育って詩歌管絃の楽しみより外に知らない貴人のものである。