후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
二
それから、瞬きも忘れて見入っていると、また船室から一人が現われた、こんどは男だった。しかし矢張り日本人である。さっき圭さんが、外人の船だろうと、いったのは、どうやら出まかせらしかった。
(どんな男か……?)
ピントをそちらに向けた中野は、こんどこそ
「あっ……」
と驚きを洩らしてしまったのだ。
「なんだい中野さん……」
圭さんにも聞えたと見えて、間伸びのした声をかけて来た。
「うん、いや、何んでもないさ」
中野は、まるで望遠鏡にぶらさがるような恰好をして見入ったまま、口先きだけの返事をした。
しかしその実、彼の眼はレンズに喰い入るように押つけられていたのである。
そのレンズの向う、船のデッキに立っている白髪の老人は、もう十五六年も昔になるが大震災の時以来、まったく消息を断ってしまっていた叔父の細川三之助に違いなかった。その当時、まだ中学生になったばかりの中野の記憶に比べれば、相当老けてはいるが、たしかに見当違いではないと断言出来た。
震災の日を命日としてすでに位牌になっているその叔父が、つい其処に健在とは――。しかもこんなところに悠々と船に乗っているとは――。