후리가나로 읽는 일본 고전
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
菊池 寛의 真珠夫人(しんじゅふじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 289,296자 · 578화면
が、信一郎のそうした心遣いを、救けるように、舞台では今丁度幕が開いたと見え、廊下には、遅れた二三の観客が、急ぎ足に、座席へ帰って行くところだった。
夫人と並んで、広い空しいボックスの一番前方に、腰を下したとき、信一郎はやっと、自分の心が落着いて来るのを感じた。舞台が、煌々と明るいのに比べて、観客席が、ほの暗いのが嬉しかった。
夫人は席へ着いたとき、二三分ばかり舞台を見詰めていたが、ふと信一郎の方を振り返ると、
「本当に御迷惑じゃございませんでしたの。芝居はお嫌いじゃありませんの。」
「いゝえ! 大好きです。尤も、今の歌舞伎芝居には可なり不満ですがね。」
「妾も、そうですの。外に行く処もありませんからよく参りますが、妾達の実生活と歌舞伎芝居の世界とは、もう丸きり違っているのでございますものね。歌舞伎に出て来る女性と云えば、みんな個性のない自我のない、古い道徳の人形のような女ばかりでございますのね。」
「同感です。全く同感です。」
信一郎は、心から夫人の秀れた見識を讃嘆した。
「親や夫に臣従しないで、もっと自分本位の生活を送ってもいゝと思いますの。古い感情や道徳に囚われないで、もっと解放された生活を送ってもいゝと思いますの。