후리가나로 읽는 일본 고전
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
本庄 陸男의 石狩川(いしかりがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 253,535자 · 506화면
成りあがりの役人どもは、妻子を郷里において単身のりこんで来ていた。貧乏そだちの彼らには、与えられた権力と、賄われる俸禄がふいに気持を奢らしていた。開拓の方針に沿って、じっくり腰をおちつけ、新たな土地に埋もれようとは思いも及ばなかったのだ。漁夫や職人の出稼ぎ根性と気持は通じている。彼らには、酒も女も必要不可欠であったろう。見えぬところで、未来のために、地についた努力を致そうという心構えは、時勢が替って、被支配の位置に追いおとされた阿賀妻らの心情になっていた。出世の一段階とでも考えて出向いて来た人間が一人でもあったか。
「阿賀妻どの」と堀は低い声で云った。
「はあ――」
呼ばれて目をあげた阿賀妻は、見おろしている堀大主典のかなしげな眼を見た。それは不思議な――お互いの腹のなかでうんうんと領きあう了解の目つきであった。
「やっぱり、しかし、黒田さんは傑いですよ、そうお思いになりませんか?」
「そうのようですなア――」
「カラフトの問題をのぞけば、ですがね」
彼はそう云ってめずらしく笑った。厚い唇のおくに小さな白い歯がちらちらと見えた。
「あの人だけは心の底から北海道のことを考えていますよ――」