후리가나로 읽는 일본 고전
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がらすどのうち
硝子戸の中
夏目 漱石의 硝子戸の中(がらすどのうち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,702자 · 105화면
三十二
「それじゃ二十五銭でも構わないから、買ってやりたまえ」
喜いちゃんはこう云いつつ私から二十五銭受取っておいて、またしきりにその本の効能を述べ立てた。私には無論その書物が解らないのだから、それほど嬉しくもなかったけれども、何しろ損はしないだろうというだけの満足はあった。私はその夜南畝莠言――たしかそんな名前だと記憶しているが、それを机の上に載せて寝た。
三十二
翌日になると、喜いちゃんがまたぶらりとやって来た。
「君昨日買って貰った本の事だがね」
喜いちゃんはそれだけ云って、私の顔を見ながらぐずぐずしている。私は机の上に載せてあった書物に眼を注いだ。
「あの本かい。あの本がどうかしたのかい」
「実はあすこの宅の阿爺に知れたものだから、阿爺が大変怒ってね。どうか返して貰って来てくれって僕に頼むんだよ。僕も一遍君に渡したもんだから厭だったけれども仕方がないからまた来たのさ」
「本を取りにかい」
「取りにって訳でもないけれども、もし君の方で差支がないなら、返してやってくれないか。何しろ二十五銭じゃ安過ぎるっていうんだから」
この最後の一言で、私は今まで安く買い得たという満足の裏に、ぼんやり潜んでいた不快、――不善の行為から起る不快――を判然自覚し始めた。