후리가나로 읽는 일본 고전
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がらすどのうち
硝子戸の中
夏目 漱石의 硝子戸の中(がらすどのうち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,702자 · 105화면
三十六
三十六
私の長兄はまだ大学とならない前の開成校にいたのだが、肺を患って中途で退学してしまった。私とはだいぶ年歯が違うので、兄弟としての親しみよりも、大人対小供としての関係の方が、深く私の頭に浸み込んでいる。ことに怒られた時はそうした感じが強く私を刺戟したように思う。
兄は色の白い鼻筋の通った美くしい男であった。しかし顔だちから云っても、表情から見ても、どこかに峻しい相を具えていて、むやみに近寄れないと云った風の逼った心持を他に与えた。
兄の在学中には、まだ地方から出て来た貢進生などのいる頃だったので、今の青年には想像のできないような気風が校内のそこここに残っていたらしい。兄は或上級生に艶書をつけられたと云って、私に話した事がある。その上級生というのは、兄などよりもずっと年歯上の男であったらしい。こんな習慣の行なわれない東京で育った彼は、はたしてその文をどう始末したものだろう。兄はそれ以後学校の風呂でその男と顔を見合せるたびに、きまりの悪い思をして困ったと云っていた。
学校を出た頃の彼は、非常に四角四面で、始終堅苦しく構えていたから、父や母も多少彼に気をおく様子が見えた。