일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

夏目 漱石의 硝子戸の中(がらすどのうち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,702자 · 105화면

아오조라 문고

母がかつて縁鼻へ出て、兄と碁を打っていた様子などは、彼ら二人を組み合わせた図柄として、私の胸に収めてある唯一の記念なのだが、そこでも彼女はやはり同じ帷子を着て、同じ帯を締めて坐っているのである。

私はついぞ母の里へ伴れて行かれた覚がないので、長い間母がどこから嫁に来たのか知らずに暮らしていた。自分から求めて訊きたがるような好奇心はさらになかった。それでその点もやはりぼんやり霞んで見えるよりほかに仕方がないのだが、母が四ツ谷大番町で生れたという話だけは確かに聞いていた。宅は質屋であったらしい。蔵が幾戸前とかあったのだと、かつて人から教えられたようにも思うが、何しろその大番町という所を、この年になるまで今だに通った事のない私のことだから、そんな細かな点はまるで忘れてしまった。たといそれが事実であったにせよ、私の今もっている母の記念のなかに蔵屋敷などはけっして現われて来ないのである。おおかたその頃にはもう潰れてしまったのだろう。

母が父の所へ嫁にくるまで御殿奉公をしていたという話も朧気に覚えているが、どこの大名の屋敷へ上って、どのくらい長く勤めていたものか、御殿奉公の性質さえよく弁えない今の私には、ただ淡い薫を残して消えた香のようなもので、ほとんどとりとめようのない事実である。