일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋・恩讐の彼方に

菊池 寛

菊池 寛의 藤十郎の恋・恩讐の彼方に(とうじゅうろうのこい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,146자 · 74화면

아오조라 문고

こうした藤十郎の心に、怖ろしい警鐘は到頭伝えられたのだ。「また何時もながら伊左衛門か、藤十郎どのの紙衣姿は、もう幾度見たか、数えきれぬ程じゃ」と、云う巷の評判は、藤十郎に取っては致命的な言葉であった。彼が、怖れたのは七三郎と云う敵ではなかった。彼の大敵は、彼自身の芸が行き詰まっていることである。今までは、比較される物のない為に、彼の芸が行き詰まっている事が、無智な見物には分らなかったのである。彼は、七三郎の巴之丞を見た時に、傾城買の世界とは、丸きり違った新しい世界が、舞台の上に、浮き出されている事を感じない訳には、行かなかった。ただ浮ついた根も葉もないような傾城買の狂言とは違うて、一歩深く人の心の裡に踏み入った世界が、舞台の上に展開されて来るのを認めない訳には行かなかった。見物は、傾城買の狂言から、たわいもなく七三郎の舞台へ、惹き付けられて行った。が、藤十郎は、見物のたわいもない妄動の裡に、深い尤もな理由のあるのを、看取しない訳には行かなかったのである。

小手先の芸の問題ではなかった。彼は、もっと深い大切なところで、若輩の七三郎に一足取残されようとしたのである。