후리가나로 읽는 일본 고전
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
吉川 英治의 随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,575자 · 424화면
――そのことをこの小説が前回から次回へわたって書いてゆくことになろう。
源氏には、水軍力がまったく乏しい。断然、水軍では平家がすぐれている。屋島へ懸るにもカカリ手がない立場に義経はあった。当然、彼は自分の進む“角ミチ”をまず計らねばならない。また有力な船隊をも、持駒に持つ見越しを読んでおかなければならない。
弁慶と鎌田正近に、銀桂の性能を持たせて、紀州へ使いさせたのは、そのための用意であった。しかし屋島平家も、同様に、桂馬や香車の性能をつかって、たやすく角スジを譲るような不覚はしない。そこで「謀」と「謀」とのサシ競べがまず起こった。――それの集約的な冷戦の遺蹟が、今の紀州田辺の闘鶏神社なのである。
じっさいの屋島合戦はわずか三日の火華にすぎない。将棋ばかりでなく、敗れるものが、敗れ出すと、じつにその敗亡はいつも無常迅速である。けれど、せつなの前には、長い用意の前提がある。将棋でいう“読み”だの、隠し手がさされていることはいうまでもない。歴史の面でいえば、そこの伏線的な空間こそ、おもしろいし、複雑でもあり、従って、読みづらい所でもあるのだろう。なにしろ、そうした意味からも、熊野水軍と田辺の湛増の向背は、源平両勢力の均衡のカギを握っていたものといってよい。