후리가나로 읽는 일본 고전
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
吉川 英治의 随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,575자 · 424화면
山を降り、雪ノ御所町をぐるぐる。雪見ノ御所の址を探す。
もう灯ともしごろ「ここ、ここ」と皆してつきとめたのが、町中の、しかも大通り、市立湊山小学校の門内のすぐ右側だった。大きな石一つ。あたりは校舎校庭。ただ石を視る。余りぼくらが野放図にしゃべり合っていたからにちがいない。土曜日の夕方なのに、先生が出て来た。大いに失礼を詫びる。I校長先生も見え、「まあ、お茶を」と職員室へみちびかれる。P・T・Aの会のあとらしく、婦人客もまだ残っておられて恐縮する。職員中の市史に明るい先生なども加わり、はからずも、話がはずむ。みかん、お茶をいただく、たれが入れたのか、煎茶茶碗に、ひかえ目に注がれて来た緑茶のうまかったこと。お茶では、旅中第一味。
図書室の神戸市史など拝借して、町へ出る。どこへ行くすべもなし。「いや、ありますともさ」と、砕花風人は、運転手君に風を切らせ「さ、降りるんですよ、ここ、ここ」と大倉山下の宵の人を避けて立つ。サントスのドアを押す。煙草のけむりもうもう。かんばしいコーヒーの香り。お客八、九人いて満員の家。がぜん、砕花氏の桃源郷はこことみえる。マダムへ話しかけることしきりだが、無口でどこか聖母像的な美しいマダム、片頬でうけながら、狭い、それこそ、身を入れているだけの所で、瓦斯コンロ、コーヒー缶、カップ匙