후리가나로 읽는 일본 고전
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
吉川 英治의 随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,575자 · 424화면
事、フグに関してこんなことをいうと火野葦平氏などからお談義を聞かされそうな気もするが、なにしろ、小倉の駅もだだっ広くて、思わずオーバァの襟を立てるようにできている。その上今にも降り出しそうなミゾレ曇り。どうしても「晩にはフグでも」とつい思う。
どうしたのか改札口を出たとたんに、社長さんも悟空子もたちまち行方がわからない。健吉さんも大きな体を寒々と立ちすくませている。Oさんがやってくる。「どうしたんです」とぼくら。「おかしいですなあ、車が来ていないんですよ。本社に連絡がとってあるというんですがね」――なるほど、悟空子が駅の電話口に立ったり、社長さんが小首をかしげて駅前を行ったり来たりしている。パイロットたちの心配ぶり、気のどくな程だが、なかなか連絡もとれないようだし、車も来ない。
旅客の群も、ほとんど掻き消える。駅は、風とぼくらの影ばかり。「うどんでも食べましょうか」と、健吉さんを眼の前の売店に誘う。小さい卓一つ。煉炭の七厘をかこんで、きつねうどんを三杯註文する。うどんの汁、いかにも、御飯代りといったような素人の家の味である。うす暗い片隅で、黙々と、葱をキザンだり洗い物をしている売店の夫婦を見て、この街の戦災が烈しかったことを思い合わせる。