후리가나로 읽는 일본 고전
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 魔術師(まじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 139,264자 · 280화면
幸い今夜は風がないので、散りもしないで残っていたのでしょう」
「併し変ですね。あの賊がそんな目印を態々拵えて置くなんて。考え得ないことじゃありませんか」
「賊ではありません。あいつの娘の文代という女です」
「賊だって、賊の娘だって、同じ訳です。そんな馬鹿なことが」
二郎は今度こそ、明智が発狂したのではないかと、本当に心配になり出した。
「イヤ、君が変に思うのは尤もです。併しあの娘は親子のきずなで悪魔に従ってはいるものの、父親とは正反対の心の優しい女です。以前から父親の悪行を悪んでいたのですが、今夜こそ、もう耐らなくなって、いっそ父親を警察へ引渡そうと決心したのでしょう。それには又、僕の苦しい立場を救ってやろうという、優しい思遣りもあるのです」
明智は歩きながら、嘗つての怪汽船内での不思議な出来事を手短かに話して聞かせた。
今度の事件では、名探偵を絶体絶命の窮地から救うものは、いつも目ざす怪賊の実の娘なのだ。何という不思議な因縁であろう。成程、成程、さっき明智が恋人が出来たと云ったのは、この文代のことだったかと、二郎もつい引入れられて涙っぽい気持ちになった。