후리가나로 읽는 일본 고전
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 魔術師(まじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 139,264자 · 280화면
知らなかったのだから致方もない。
だが、流石は名探偵である。彼は自動車の踏台に足をかけた時に、ハッとある危険を感じて、思わずあと戻りをしようとした。併し、残念ながらもう遅かった。うしろからは案内役の運転手が、恐ろしい勢で押込む、中からは運転手台の助手が猿臂を延ばして引ずり込む、不意を打たれて、抵抗の隙がなかった。
「何をするッ」
と怒鳴って、外へ飛び出そうと立直った時、彼を押込んだ運転手の右手が、鉄の様な握り拳になって、パッと胸を打った。柔道の当身である。勿論運転手に化けた賊の一味、その道の心得あるものに相違なかった。
あの駅前の雑沓の真中で、しかも夜に入ってからの出来事である、仮令明智の怒鳴り声を聞いた者があったとしても、そんな怒鳴り声は駅前では珍らしくもないのだ。
自動車は何事もなかったかの様に、大胆にも明るい電車通りを、広小路の方角へ走り去った。その客席のクッションには、我等の主人公明智小五郎が、みじめにも気を失って、グッタリと凭れかかっていたのである。
再び云う。この出来事に於て、明智の方には責むべき油断があった訳ではない。ただ、賊が、警察よりも、福田氏よりも、明智小五郎よりも、十歩も二十歩も先んじて、虚を突いて奇功を奏したに過ぎないのだ。