轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あすなろう

あすなろう

山本 周五郎

「小説新潮」新潮社、1960(昭和33)年8月~9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,925 字 · 41 页

青空文庫

政は手酌で一つ飲んだ。

――どうしよう。

恐怖と混乱した気持が、彼の表情にそのままあらわれていた。追い詰められ断崖の端に立って、逃げ場のないことに狼狽しているような顔つきであった。まわりの客たちはしだいに陽気さをとりもどし、店の中は器物の音が賑やかに、話したり笑ったりする声を縫って、小女たちの注文をとおすきんきんした声も聞えだした。政にはなにも耳にはいらないらしい、彼はからの盃を持ったまま、幾たびも太息をつき、幾たびも自分の手をみつめ、また、寒さでも感じるように絶えず衿をかき合せていた。

どのくらい刻が経ってからだろう、肩に手を置かれて、政は殆んどとびあがりそうになり、妙な声をあげながら振返った。彼が和泉屋の親分と呼んだ、百姓ふうの岡っ引が来てい、彼の脇、――文次が掛けていた反対の側へ腰を掛けた。

「どうするんです、親分」政は吃りながら云った、「あっしはなんにも知りませんよ」

「取って食うわけじゃあねえ、まあおちつけよ」岡っ引は振向いて小女を招き、水を呉れと云ってから、ふところに突込んであった手拭を出して汗を拭いた、「――政、おめえいまの男とどんな関係がある