轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
「それじゃあお父さんが可哀そうじゃないか、そう思わないの」
りつ子はちょっと考えてから答えた、「あたし東京のほうが好きなの、そこにいるお友達といったほうがいいかもしれないけれど、――ねえ、せんせい、日本人は日本で住むのが本当じゃあないでしょうか」
いまはねと云いかけて、隆二は口をつぐんだ。現在は日本もブラジルもない、欧米も東洋もない、その人の気持で、どこへいってもそこに自分の好ましい生活ができるのではないか、と云いたかったのであるが、そんなことを云っても、十四歳の少女にはわかるまいと思ったからである。そしてまた、女の子はこのとしごろでもう、感情的に親からはなれてゆくのだな、とも思った。
「古くさいことを云うようだが」と彼は吃り吃り云った、「――親子はどこへいっても、いっしょのほうが本当じゃないだろうか」
「そうかしら」りつ子は云った、「せんせいに叱られるかもしれないけれど、――あたし、お父さん嫌いよ」
本当だろうか、女の子にはファザア・コンプレックスがあって、恋人のできるまえに、または初めての恋人に、しばしば父親のイメージを感じるものだといわれている。