轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
干飯崎の死んだ船子の遺族たちの、貧しい、希望のない生活ぶりを見てきて、それがかれらの宿命だ、というように思っていた自分の考えを、いまこの少女のひとことで、刺しつらぬかれるように感じたのであった。
「寝るところがなければ、どこかの藁小屋へもぐり込んで寝なければならないんだよ」
「いままでだって同じようなもんだったもの、あたし藪の中だって平気だわ」
りつ子は昂奮しているためか、それとも新らしい世界へ出てゆくという、強い好奇心のためか、健康そうな頬が赤く、眼がきらきらし、どんな困難や抵抗にも屈しない、という気持をその態度ぜんたいで示していた。米穀通帳や移動証明は持って来たのかと、きこうとしたが、そんなものに関心のないことはわかっていたので、隆二は黙っていた。
「そんな恰好で寒くはないのか」
「伴れてって下さるのね」
「お父さんが訴え出れば、ぼくは誘拐罪になるんだよ、きみは未成年だからね」
「あたしが自分でついて来たのに」
「それは証明できないからね」
りつ子はふーんと、考えぶかそうに頭を傾げた。でもあたしがそうしたくってしたのに、どうして誘拐罪になんかなるの。それが法律というものなんだ、人間の意志とは関係なしに、法文というものが一律に人間の生活を縛っているのだ。