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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 页
十月に指物師と経師屋がはいった。それからなお十五日あまり日が経ち、霜月はじめに加平が来ると、初めて屏風が仕上ったと云った。
又五郎は九月ごろよりさらに痩せ、精根をつかいはたしたというようすだったが、顔つきも冴え、眼も強い光を帯びて、ひと仕事しあげたという充実した感動が、全身に脈を搏つかのようにみえた。
「勝手なお願いですが、松屋と井上、島田の三人を呼んで頂きたい、かれらが来てから、あの三人が来てから貴方にも見て頂きたいのです、それまでごらんになるのをお待ち下さい」
「よろしいとも、早速その手配をしましょう」
加平はとぶようにして帰っていった。
なか一日おいて、まず加平が来、島田が来、少しおくれて貞造、井上の二人が来た。久しぶりに顔がそろって、茶を啜りながら暫く話をした。島田と井上孝兵衛は妻をもち、松屋は絵草紙屋を始めたという、相変らず人の好い笑い方で、
「なにしろおふくろに死なれちゃいましてね、金蔓が切れちまったもんだから、商売するんならと、親父が云うのを幸いにね」
そんなことを云って頭を掻いた。
ひとおちつきしてから、又五郎は立ってみんなを奥へ案内した。