轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おせいとうじょう
お勢登場
江戸川 乱歩
「大衆文藝」1926(大正15)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,784 字 · 24 页
果して彼女が里へ帰っているかどうかを検べるのは、無論訳のないことだったけれど、格太郎はそれすらしなかった。妙な心持である。彼は自分自身に対してさえ、おせいを庇う様な態度を取った。
今日もおせいは、朝から念入りの身じまいをして、いそいそと出掛けて行った。
「里へ帰るのに、お化粧はいらないじゃないか」
そんないやみが、口まで出かかるのを、格太郎はじっと堪えていた。此頃では、そうして云い度いことも云わないでいる、自分自身のいじらしさに、一種の快感をさえ覚える様になっていた。
細君が出て行って了うと、彼は所在なさに趣味を持ち出した盆栽いじりを始めるのだった。跣足で庭へ下りて、土にまみれていると、それでもいくらか心持が楽になった。又一つには、そうして趣味に夢中になっている様を装うことが、他人に対しても自分に対しても、必要なのであった。
おひる時分になると、女中が御飯を知らせに来た。
「あのおひるの用意が出来ましたのですが、もうちっと後になさいますか」
女中さえ、遠慮勝ちにいたいたし相な目で自分を見るのが、格太郎はつらかった。
「ああ、もうそんな時分かい。じゃおひるとしようか。