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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「三町ということはありませんよ。東大手から五町台、西大手からは七町ありますよ」

「否、西大手から三町であす。私はつい筋向うであすから始終試していますが、東大手よりは煙草を一服喫ってお茶を一杯飲むほど早うあす」

と双方執って譲らず、結果中老が僕達を宿屋まで案内してくれることになった。伊賀の人は親切で強情だと僕は思った。何うでも宜い問題だけれど物好きに道程を測りながら歩いたら、確に七町はあった。それでも中老は、

「何うです? 近うあしょう?」

と確信的に言って別れた。

「まあ/\、一服やってお茶を飲むほど儲かったんだから」

とその儘神輿を据えてしまいたがる団さんを促して、僕達はまず見物を果すために宿屋を出た。

俥に乗るほどのこともなかろうと高を括ってブラ/\歩き始めたが、伊賀の上野はそのお手本の東京の上野よりか余程広い。成り上りのひょろ長町ではなくて、人間同様栄養の好いのは必ず横幅があるという団さんの都会の定義にしっくり合っている。芭蕉翁の故郷塚を尋ね当てゝ木像に拝面するまでに、

「もし/\、愛染はんは此方へ参りますか?」

とお父さんは訊き方を呑み込んでしまったくらいだった。