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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「否、電報は昨晩確に戴きましたが、気を利かして亀山までお迎えに出掛けたのがソモ/\間違の因でした」

と答えて、松本さんは、

「姐さん、私にも御飯を持ってきてお呉れ。御一緒に失礼することにしましょう。早速で済まないが、急いでね」

と命じた。物のしこなしや言い廻しが先生より余程世間慣れている。

「謙さん、電報が着いて宜うございましたね」

と田鶴子さんが態とらしく僕を顧りみた。

「真正に宜うございましたね」

と僕も意を体して応じた。しかし三輪さんは、

「それは打った電報ですもの、着かなけりゃ間違です」

と今更のように教えてくれた。些とも手答がない。

「皆私の失策ですよ。その次第は後刻ゆっくり申上げますが、要するに伊賀の国風が悪いのですな」

と却ってお弟子さんの方へ響いたのは気の毒でならなかった。

食事が済むと、田鶴子さんと僕は例によってそれ/″\家への通信事務に従った。必要は発明の母なりという通り、毎日手紙を書かされると自然種々な簡便法を思いつく。昨日は筆紙に尽し難いという句を応用してみた。此奴は頗る調法だ。好い景色は大抵これで間に合う。今日は余は後便にてというのを利用した。