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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

恐らく日本一だろう」

と大木好きの三輪さんは何時までも見上げていた。

「この八幡さまといい亀山上皇といい、此処へ来ると何うやら遠い元寇の昔を偲びますね。もっと歴史に精しいと面白いんでしょうけれども」

とお父さんも多少、感慨を催したようだった。

「然うですよ。この辺一帯は元寇の旧蹟で持ち切っています。多々良ノ浜がこの海岸伝いですから、此処らも矢っ張り古戦場かも知れませんね」

と小三輪生が応じた。

「何うです? 此処の学生も京都の連中のように遊びますか?」

と団さんは現代にばかり興味を持っている。

「京都の連中見たいにノートを質に入れたりその質札を又抵当に置いたりはしませんが、随分遊びますね。殊に医科が激しいです。五千六千という借銭を背負ってウン/\いっているのが大勢いますよ」

「そんな連中と交際しちゃ困るぜ。君は兄に似て矢っ張り酒が好きだからね」

と三輪さんは叔父さんぶりを見せた。

「私は大丈夫ですよ。借銭をして酒を飲んでも甘いことはありませんからね」

「はゝあ、借銭と言いますか? 此方では。京阪や中国の人は借銀と言います。東京は絶対的に借金です、借金借銀借銭と中央から遠退くに従って相場が低下するのは自らその土地の文化の程度を示していて面白いですな」