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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「おや、此処にも洞窟がありますわ」

と田鶴子さんが見つけ出した。

「それは乞食でも入るのでしょう。あら、彼処にもある」

と僕達は元気好く坂道を辿った。木も大きなのが鬱蒼と生い茂っていて、三輪さんを喜ばせた。

「結構だ。此処に斯うやって坐っていれば最早歩かなくても見物が出来る次第だね」

と団さんが無精な癖を出した通り、頂上は眺望が好い。

「桜島が此処の景色の中心です。噴火以来向う岸が大隅に続いてしまいましたが、此方から見た形は変りません。あの黒くなったところが溶岩の跡です」

と小林さんが説明を始めた。

「あすこから火を噴き出したんじゃ正面だから嘸迷惑でしたろうな」

と三輪さんは山を人間扱いにしている。

「大騒ぎだったそうです。しかし平常これ丈けの風致を添えていますから、静まってしまえば別に処分問題も起りません。よくしたもんです。桜島大根も取れますが、和歌に最も適した島と見えます」

「何に」

「和歌さ。敷島の道さ。私は素人で能く分りませんが、此処のは大抵、『何が何して桜島山』とありますから、和歌には別に加工しないでも誂え向きらしいです。実際あの桜島山を取り除けてしまった鹿児島は一寸想像がつきませんからね」