轻松读懂日语经典作品
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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1957(昭和32)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,480 字 · 67 页
おりつの、眼尻があがった。茂次がなにか云いかけたが、同心の中島がさきに「福田屋」と云って久兵衛を見た。
「云いだしたらきかないんで」と久兵衛が云った、「もしそんなことでよかったら、娘に手伝わせてもいいと思いますが」
「いちおうお係りと相談してみるが」と中島が云った、「とにかく人別をきちんとしておいてくれ、いいとなったらお手当のさがるようにはからってみよう」
「おゆうさん」とかしらの勘助が初めて口をいれた、「お手柄でしたね」
そしてみんな出てゆき、おゆうだけあとに残った。おりつはくるっと振向いて、足早に勝手のほうへ去り、おゆうは茂次にくやみを述べた。それを聞くのがいやなのだろう、茂次は「いつこっちへ帰ったのか」と話をそらした。そこへ、おりつが引返して来て、子供が五人逃げた、と告げた。
「逃げたって」と茂次は振返った。
「いまの話を聞いたんでしょ」とおりつが吃りながら云った、「途中まで聞いて伴れ戻されると思ったんでしょう、もうちょっとまえに五人で逃げたんですって」
茂次は奥へとんでいった。おりつが続き、おゆうもあがって来た。いってみると、勝手口の外に子供が八人、互いに倚りかたまって、怯えたような顔で立っていた。