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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1957(昭和32)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,480 字 · 67 页
そうあやまっていると、徳二郎が遮った。
「棟梁のおめえにあやまられてもしようがない」と徳二郎は云った、「おめえの子というわけじゃあなし、それに一度や二度じゃあないらしいんだ、こういうがきはたちが悪くっていけねえから、おらあもう自身番に任せることにしたんだ」
茂次は平助に振向いて、「子供を放せ」と云った。重吉を捉まえていた平助は、困ったように徳二郎を見た。茂次はまた「放せ」と云い、平助が手を放すと、おりつに「あっちへ伴れてゆけ」と云った。重吉は泣きじゃくりをしながら、おりつといっしょに奥へ去り、上り框に蜜柑が二つ残った。
「いま誰かぬすっとって云ったな」と茂次は三人の顔を見比べた、「――誰だ」
平助が口の中で不明瞭になにか呟いた。自分が云ったというのであろう、茂次は彼を無視して徳二郎を見た。
「おい徳さん、おめえいまこういうがきはたちが悪いと云ったが、子供はみんな同じこったぜ」と茂次はつかえつかえ云った、「おれだって小さいじぶんには、火鉢の抽出からおふくろの小銭をくすねたことがある、土堤前にあった絵草紙屋の店で絵本をぬすんだこともあった、大なり小なり、なかまはたいてえやった、おめえだってそんな覚えが二度や三度ねえこたあねえだろう、それとも忘れてるんなら、おれが思いださせてやってもいいぜ、どうだ、そんなことは一度