轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
「たべてみなさいな」とお直が云った、「熱いものを入れればさっぱりしますよ」
「どんな物を取ってったんだ」
「そんなこと忘れなさいったら、物を取られたことより、親切を仇にされたことのほうがよっぽどくやしいわ」とお直が云った、「それに、おまえさんの友達なら困るけれど、知らない他人だっていうんだからよかった、他人ならこっちは災難と思えば済むんだから」
重吉は眼をあげてお直を見た、「出てゆくのを見た者はねえのか」
「良が見たそうよ、戸口のところで振返って、お世話になりましたって、低い声で云ったんですって」お直は七厘の口をかげんした、「うちの者を起こすまいとしているんだって、良はそう思ったものだから、そのまま眠ってるふりをしたんですってさ」
「あいつは」重吉は口を二度、三度あけ、それから恥じるように云った、「良のやつは、怒ってたろうな」
「なにを怒るの」
「おれがあんな野郎を、伴れこんで来たことをよ」
「良がなんて云ったか教えましょうか」とお直は亭主を見た、「――もしちゃんがこんなことをしたんなら大ごとだ、こっちが盗まれるほうでよかったって、良はそう云ったきりですよ」
「そうか」