轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
四
とお蝶が子供っぽく明るい声で云った。
客たちが振返り、源平とおくにが眼を見交わした。重吉は立ちそうにしたが、お蝶は明るい笑顔を向けて手を振り、少しよろめきながら出ていった。
「さよなら――」と外でお蝶の云うのが聞えた、「また来ます、お邪魔さま」
「重さんいってあげなさいな」とおくにが云った、「ひどく酔っているようじゃないの、危ないからお店まで送ってあげなさいよ」
「そうだな」重吉は立ちあがった。
出てみると、お蝶の姿は三、四間さきにあり、かなりしっかりした足どりで歩いていた。左右の呑み屋は客のこみ始めるときで、三味線の音や唄の声や、どなったり笑ったりする声が、賑やかに聞えていた。――重吉はお蝶の姿が見えなくなるまで、黙ってそこに立っていて、それからその横町を、堀のほうへぬけていった。
四
「よせ、よしてくれ」と重吉は云った、「なぐるのはよしてくれ」
彼はその自分の声で眼をさました。
気がつくと自分はごろ寝をしてい、すぐそばにお芳がいた。彼は畳の上へじかに寝ころんでいるのだが、枕もしているし、掻巻も掛けてあった。三つになる末っ子のお芳は、千代紙で作った人形を持って、咎めるような、不審そうな眼で父親を見まもっていた。