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やぶからし
やぶからし
山本 周五郎
「週刊朝日増刊」朝日新聞社、1959(昭和34)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,476 字 · 44 页
六
出てゆくならはっきりきまりをつけてからだ、とも考えたりした。そんなことを思い惑っているうちに、ふと気がつくと、あの方の話している調子が、いつのまにかすっかり変っていた。
「六つか七つぐらいのときだ」とあの方は続けていた、「庭で遊んでいると、当時いた源次というとしよりの下男が、生垣のところに伸びている草を、鎌で掘っては抜き捨てている、なんだと訊くと、やぶからしという草だと云った、どうして抜くんだ、どうしてって、これは悪い草で、伸びるとほかの木に絡まってその木を枯らしてしまう、竹藪さえ枯らしてしまうので、いまのうちに抜いてしまうのだ、と源次が答えた、やぶからし――」
あの方はぐらっと頭を垂れた。
六
そのことはすぐに忘れた、とあの方は語り続けた。しかし十二、三になって、自分が誰にも好かれず、親たちからは叱られてばかりいることに気づいたとき、ふと源次の言葉を思いだして、自分はやぶからしのようなものかもしれない、と悲しく思った。
「おれは小さいじぶんから、なにか物をやらなければ遊び相手が付かなかった、菓子をやって遊び相手を呼んでも、喰べ終ればさっさといってしまう、おれはぽかんとして、それから自分が恥ずかしくなる、そんなことをして友達を求めるなんて、あさましい、卑しいことだ、もうよそうと、固く自分に誓うが、淋しくなると