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やぶからし
やぶからし
山本 周五郎
「週刊朝日増刊」朝日新聞社、1959(昭和34)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,476 字 · 44 页
あの方が告白したように、あの方にはいつもこういうことが付いてまわるのだろう。もちろん、使わずに済むだろうが、とわたくしは思った。
わたくしは命がけであの方を説き、いっしょにここを出てゆくつもりだった。もしそれがだめだったら、あの方を刺し止め、宮瀬川へ流したうえ、自分も身許の知れないようにして死のう、と覚悟していた。――開田というのは、城下の西南から宮瀬川のほうへゆく新道で、町を出はずれると片側は丘、片側は田や畑が続いている。妙見堂は町はずれから五、六町いった山側にあるのだが、そのちょっと手前までいったとき、二人の男があらわれて、わたくしの前に立塞がった。
あたりは黄昏れていて、靄が立ち、道の上まで藪が蔽いかかっているため、その人柄はよくわからないが、なり恰好や言葉つきは、明らかにやくざな人間と思われた。
「ごしんぞさん」と男の一人が云った、「済みませんがここはちょっと塞がっています、通れませんからどうか戻っておくんなさい」
わたくしは恐れはしなかった、「用があってゆくのですが、どうしていけないんですか」
「ちょっとなかまの揉め事がありましてね」とべつの男が云った、「お素人衆にはごらんにいれたくねえんで、なに、すぐに片づきますから、なんならいっときまをおいて」