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なのかななよ
七日七夜
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,818 字 · 36 页
などとまじめに名乗ったのを覚えている。
だがどのくらい経ってからか、ひょいと見ると、二人の席には違う客がいた。次いで他の客と入れ替り、それがまたべつの顔に変った。
――佐兵衛と徳治がいなくなった。
彼は非常な孤独と寂しさにおそわれた。二人に戻って貰いたかった、二人にいて貰わなければ、なにかとんでもない事が起りそうな気がした。それで昌平は頼んだ。
――あの二人を呼んで来て呉れ。
自分ではそのつもりであるが、実際はそうではなかった。彼の酔は程度を越し、そのために頭はまた空転し始めていた。
――ざまあみろ、この卑しい虫けら共。
彼はそう喚きだしたのである。(もっと多くの殆ど罵詈雑言)それが誰に対する叫びだったかは云うまでもない。しかしそこにいる人たちは事情を知らなかった。もっと悪いことには晩飯どきは疾うに終り、客は殆ど飲む一方の常連になっていた。
「ふざけたことうぬかすな、やいさんぴん、喧嘩なら相手になってやる、表てへ出ろ」
「さんぴんとはなんだ」昌平はどなり返した、「――きさまたちはまだ人を馬鹿にするか、まだ馬鹿にし足りないのか」
彼は立った。相手はすぐ眼の前にいた、まだ若い半纒着の男で、頭の上にちょんと(人を嘲弄するような恰好で)向う鉢巻をし、紅鮭色の顔色で、こっちをまともに睨んでいた。