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なのかななよ
七日七夜
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,818 字 · 36 页
二
……兄たち然り、あによめ然りだから、召使たちもしぜん彼には冷淡で、こちらの僻みもあるかもしれないが、「へっ古草鞋が」といったふうな眼で見たり、軽蔑したような態度を示した。
「あのう、御膳のお支度が出来ました」
ようやく下女の一人が知らせに来た。
「あ、有難う、すぐゆく」
昌平はつい知らず機嫌のいい返辞をして、いそいそと立ってから、そんな自分のだらしなさに肚が立って「ちぇっ」と舌打ちをした。
二
台所の隣りの薄暗い長四畳。そこが彼の食堂であった。二方が壁、一方が納戸で、廊下のほうだけは障子であるが、廊下の向うが戸袋と壁なので、真昼でも部屋の中は黄昏のように暗いし、年中かび臭く、じめじめと陰気だった。
昌平は膳の前に坐った。
もちろん給仕はして呉れない、独りで汁をつけ飯を盛ったが、そこでふと妙な顔をした。
「――なんだこれは」
彼はそっと汁と飯に口をつけてみた。どちらもすっかり冷えていた。昌平は逆上した。さっき下女たちは湯気の立つ飯を食べていたではないか、むっと胃を唆るような、熱い味噌汁の匂いをさせていたではないか。
「それなのにこれはなんだ、ゆうべの残りの冷飯じゃないか、おれはこんなものを」