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さんにんきょうだい

三人兄弟

菊池 寛

「赤い鳥」赤い鳥社、1919(大正8)年4月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,630 字 · 22 页

青空文庫

すると、その武士は親切らしい笑顔をして、

「それはよい都合じゃ。わしの仕えている殿様は、お前のような若者なら幾人でもお召し抱えになるのじゃ。わしの殿様に奉公する気はないか。」と言いました。それを聞くと、二郎次は小躍りして喜びまして、早速奉公したいと申しました。

やがて、二郎次は武士に連れられて、その殿様のお館へ行くことになりました。武士は不思議なことに、都の方へは行かずに、道から左に折れて、小川に添うた細い道を、ドンドン進んで行くのでした。二郎次は、ちょっと不思議に思って、

「そのお殿様というのは、都にお住いではないのですか。」と聞きました。すると、武士は何気ない顔をして、

「都にもお館はあるが、今は、みぞろが池の傍に住んでいられるのじゃ。お前が、都見物に行きたいのなら、明日にも連れて行こうぞ。」と言いました。

そのうちに、道の行く手に、月の光に照されて鏡のように光る大きな池が見えましたが、その池の水際には、蘆やよしが沢山生え茂っている上に、池のぐるりには大木が生い茂って、大蛇でも住みそうな気味の悪い大池でありました。

二郎次は、こんな淋しいところに殿様のお館があるのかと不思議に思っていますと、武士は、