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ものをこわすのがしょうばいじけん
什器破壊業事件
海野 十三
「大洋」1939(昭和14)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页
どこまでも、うぶな娘さんのつもりでいてください」
「そして低脳ぶりを発揮しろとおっしゃるんでしょう」そういって風間光枝は、横眼をつかって、さも憎らしげに帆村をじろりと見た。
破壊作業
その日の夕方、風間光枝はすっかり仕度をととのえ、口入屋の番頭に化けた帆村に伴われて、問題のお屋敷の裏門をくぐった。
裏門から裏玄関へ。裏玄関といっても、なかなか堂々たるもので、家賃百円を出してもこれくらいの玄関はついていまいと思われる大した構えだ。
「ああ大木屋か。たいへん遅いもんだから、もう他へ頼んじまった。用はないから、帰れ、帰れ」この家の主人公にちがいない五十を二つ三つも越えた肥満漢が、白い麻のゆかたを着て、裏玄関までのこのこ出て来た。よほど暑がり屋と見える。
「へえ、どうも相済みませんでございました。じつはこちらさまにきっとお気に入ること大うけあいという上玉がありましたもんで、それを迎えに行っておりましたような次第で――ところがこれが埼玉の在でございまして、たいへん手間どれました。ここに控えておりますのが、その一件でございまして、在には珍らしい近代的感覚をもちました娘でげして……」