轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こごえるおんな

凍える女

小川 未明

「三田文學」1912(明治45)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,949 字 · 20 页

青空文庫

ここに、おあいがまだこの村にいる時分に世話をしてやった老夫婦が住んでいる。その家は貧しい上に、馬鹿な、令一という息子があった。而してこの老夫婦のものは細い哀れげな暮らしを立ていた。おあいは、よくこの老夫婦のものに自分のまだよかった頃には着物の破れたのや、また洋傘の壊れたのや、また暮になれば餅や、豆などいろいろのものを恵んでやったことがあった。

空には、黄色な雲切れがして青い空が覗いている。馬鹿の令一は、青竹を切って、それに小刀で小さな穴を明けて、吹いて、ツウ、ツウ、ツウという音を出していた。板の間には、竹屑が白く散って、鈍然とした小刀の光りが灰色の光線の裡に眠っていた。

前の柿の木の、落ち残った葉が紅くなっている。彼方の杉の木には小鳥が来て、令一の吹き鳴らす、管笛と合わして鳴いていた。其処へ、老婆が入って来た。

奥で炬燵に当っている爺さんに向って、

「おあいさんが来ていなさるというが……家へも来なさるだろう……。」といった。

二人は、ひそひそとしておあいの身の上話を始めた。若し来て、泊めてくれいといわれたりすると、この寒空に、厭だということも出来ず困ってしまう。