轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こごえるおんな
凍える女
小川 未明
「三田文學」1912(明治45)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,949 字 · 20 页
二
二
それからというもの、森の中の秘密は、全く後に残った一軒の家に集められたのである。おくらはその後何処へ行ってしまったか、またおくらに使われていた年の若い艶めかしい、怪しげな女共はやはりいっしょになっているものか……誰も、その行衛や消息を聞いたものがなかった。後に遺った一軒の、柿村屋という男は、にがみ走った、極く黙った四十五六の男であったが、腹は一層黒くて落付いた、見ただけでは分らない人物である。村の人々はこういった。何といっても、まだおくらは女だ、柿村屋は、食える男でない、おくらをうまい具合に立行かぬようにし、あの森の中から追い払ったのも柿村屋の仕事だろうなどといった。柿村屋は、誰に遇っても丁寧な物言いをして、さも親切らしいことをいった。おくらに対しても、やはり、あの苦み走った顔付をして、極めて黙った落付いた態度をかえなかったものと思われる。何をおくらがしても、柿村屋は干渉がましいことを言ったこともなく、いつも、冷然として、気にとめずに傍から見ぬ風をして、見ては冷笑っていたらしい。しかし腹の中では、どういうことをたくらんでいたか知れない。おくらをこの森の中から、追い出したのも柿村屋の仕事だと村の人のいったのも、あながち根のない話でないようにも思われる。