轻松读懂日语经典作品
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しょや
初夜
山本 周五郎
「週刊朝日春季増刊号」朝日新聞社、1954(昭和29)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 页
「脇屋――」と久良馬が云った。
代二郎は頷いて立ち、久良馬の脇へいって坐った。そうして、久良馬が短刀を抜くと、静かに振向いて云った。
「井関どの、みとどけられたか」
藤也は眼をあげた。佐藤喜十郎もそちらを見たが、藤也は短刀のぎらぎらする光りと、衿をくつろげる久良馬の姿を見て、ひとたまりもなくその眼を伏せた。
「慥かにみとどけましたな」と代二郎が云った、「――では御帰城のうえ、御前へその旨を申上げて下さい、私は除村の友人として、遺骸の処置をして帰ります」
佐藤喜十郎がなにか云おうとした。けれども代二郎は気もつかぬようすで、久保貞造と板土友次郎に云った。
「御検視が帰られる、お見送り申せ」
井関藤也はすぐに立った。喜十郎はちょっと躊躇するふうだったが、井関が立ってゆくので、これもあとから座を立った。
黄昏れてきた部屋の中に、久良馬の取り直す短刀が、きらりと冷たく光って見えた。
代二郎はそれから一刻ちかくもおくれて城へ帰った。右京亮はすぐに、黒書院へ彼を呼びつけた。さきに帰った二人のどちらが報告したか、切腹の現場を見せなかったというので、右京亮はすっかり怒っていた。