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わし
和紙
東野辺 薫
「東北文學」1943(昭和18)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,557 字 · 70 页
四
なんだか昨日は、お母さ達こそこそしてると思ったわと呟いてから、何かこう、意地悪さを露骨にせずにはいられなかった。
「惣兄ちゃのあれっていうと、みんな大騒ぎをするもんだ。」
「はははは。」
ふくれッ面をする妹の心理が、あれこれと心を砕かせられている友太の胸に、ふっとある共感をよび起した。
「全くだ、大騒ぎをするもんだで。」
「どうせ早く連れて来てしまうといいわ。そしたらみんな落ちつくべから。」
よしは荒々しい水音を立てた。
四
娘のことについては、当の相手は言うまでもない、ひいてはその親兄弟へも、腹に据えかねた言い分はあるだろう。この前としゑに会った時の口吻でも、相当強硬な出ようをされそうだった。運送店の馬車挽きをしていることは惣吉からも聞いた。顔を合わせれば、お定まりの、自分ら親子の見えすいた卑下からはじめて、若い者同士のそれは仕方がないとしても、幾らかずつでもあった仕送りが絶えるとすればと、ねっちりと坐らせられるかもわからなかった。その用意も父と相談のうえ整えてはいたし、それはもう覚悟の前の下手に出る一点張りで通すつもりでここまで乗りかかった友太は、例のくそ度胸が据っていた。