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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页
「だって、仕方がないや」
「幽霊なんかこわがっていてはだめよ、何でもないんだから……」
「だって……」
「さあ、これをごらんなさい」
雪子は道夫の前へ一枚の紙を持ってきてその上に鉛筆で図をひいた。
「これは平面、すなわち二次元の世界よ。それはしずかな水の表面だと仮定しましょう。今その上からお芋をおとしたとしましょう。お芋はもちろん三次元の物体です。すると二次元世界の生物は、それをどんな風に感じるでしょうか」
雪子は熱心に語りだした。道夫はだまって聞いている。
「お芋の尻尾が、はじめて水の表面についたときは、二次元世界では、お芋を小さな点と感じます。分るわねえ。――お芋はだんだん下におち、小さな点だと思ったものはだんだんひろがってきます。つまりお芋と水の交わったところを考えればいいのよ。――別なことばでいえばお芋がはじめて水にぬれた部分のことを考えればいいのよ――二次元の世界の生物は大きくなる円を感じます。お芋の一番胴中の太いところが水の表面についたとき、二次元世界では、最も大きくなった円を感じるわけね。それから先は、お芋のまわりはでこぼこしているので、その円が妙にうごくように感じます。