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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页
最後の機会
あとはそれを使って、貴重な薬品を合成すればいいの。あたしは早速この部屋でその仕事を始めたいのよ。さあ、手伝ってちょうだい」
「どうすればいいの」
「そのブンゼン灯に火をつけてみてよ」
「はい。つけましたよ。それから……」
「ああ、とうとう火がついた。まあ、よかった。四次元世界に漂う者にとっては、どうしてみても三次元世界に火をつけることができなかったのよ。道夫さんあなたはその大困難を解決して下さった。あたしの生命の恩人だわ。ああブンゼン灯に火がついた。こっちのブンゼン灯にも火をつけてよ。ああ、救われる。貴重な薬が今こそ作られるのだ」
雪子学士の幽霊は、まるで火取虫のようにブンゼン灯のまわりをぐるぐると踊りまわって喜ぶのであった。
最後の機会
道夫はそれからも雪子のさしずによって、いろいろな仕事を手伝ってやった。棚からレトルトをおろして金網をおいた架台の上にのせたり、でてくるガスから湿気を取るために硫酸乾燥器のトラップをこしらえたり、沈殿した薬物を濾紙でこしたりした。そういう操作はほとんど全部道夫がした。雪子は命令したり、測定したり、判定したりするばかりだった。