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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

怪紳士は道夫に文句をいう隙をあたえずに、先へ立って、さっさと紫のカーテンの奥に消えた。

「道夫君。早くきたまえ」

紫のカーテンの奥に何があるのだろうか、と、うす気味わるく足をはこびかねている道夫の耳に、怪紳士の強い声が聞えた。もう仕方がないと、道夫は覚悟をきめてカーテンをかき分けた。

それは意外なる光景であった。その奥部屋は四坪ほどの狭いものだったが、部屋はがらんとして中央に机が一つ、それに向き合った椅子が二個、たったそれだけであった。そして右の方に窓が一つそこから眩しいほどの光線が入っている。

「君は、こっちの椅子へかけたまえ」

怪紳士は、手前の椅子を道夫に指した。道夫はいわれるとおり腰を下ろした。椅子は板敷きのもので、道夫の足の先はぶらんと宙に浮いた。怪紳士はさっきから読んでいた雪子学士の研究ノートをひろげたまま机の上においた。それは道夫に対して文字があべこべになるように反対におかれた。

「それではカーテンをしめるよ」

「待って下さい。どうするのですか、僕は……」

道夫は不安にたえきれなくなって、遂に爆発するように叫んだ。

「君は何にも考えないのがいいのだ。