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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页
それからも課長の仕事はしばらく続いたが、やがて研究ノートの最後の一冊を見終ると、両手を頭の上にあげて背伸びをした。
「おい古島君。この書類を元のように包んでくれ。ひろげて中を見たということが分らないようにね」
課長はむりな註文をつけて、幽霊係の古島老人に命じた。
「ああ、それから山形君」といって金庫番の柔道四段の青年を呼んでポケットから黄表紙をだした。
「このパンフレットを金庫の中にしまってくれ。他の重要証拠品といっしょにしてね、奥へ入れておくんだ」
「はい。金庫の一番奥へ入れておきます。三つ鍵を使わなければあかない引出へ入れます」
課長は椅子から立上った。と同時に、もう幽霊事件のことは忘れてしまって、彼の注意力は他の捜査事件の方へ振向けられた。
だが、課長が黄表紙のパンフレットを紙包から別にはなして、部屋の隅の大金庫へしまいこませたことは、せっかく蜂矢探偵が持ちこんだ大切な「幽霊の餌」を課長が勝手に処分したわけであり、そういうことは蜂矢探偵への信義を裏切ることにもなり、またやがて夕刻からおこなわれる雪子学士の幽霊招待の実験にも支障をおこすことになりはしないかと危ぶまれるのであった。