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じごくふうけい

地獄風景

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页

青空文庫

そして、風船から降り様として、繩梯子に足をかけるかかけないに、突然弾丸の様に墜落してしまったんだ」

「すると、君は見ていたのかい」

「イヤ、僕が見たら、今までうっちゃって置きゃあしない。子供が見たんだ。炊事場の婆さんの小せがれが見たというんだ。この子だよ」

雷蔵が六七歳の男の子の頭を押さえて見せた。

「どうも誠にすまねえことでございます。子供の云うことだで、気にも止めねえでいましたら、やっぱりこんな恐ろしいことが……」

子供の母親が、頻りと詫び言をするのを聞き流して、治良右衛門は鼻たれ小僧の頭をなでながら、質問を始めた。

「坊や、いい子だね。この姉ちゃんが、風船の上で、遠眼鏡を見ていたのかい」

「ウン、そうだよ。一生懸命に見ていたよ」

子供は存外ハッキリ答える。

「どっちの方を見ていたの?」

「あっちの方」

子供の指さす方角には、例の殺人迷路があるばかりだ。

「あっちだね。間違いないね」

「ウン、あっちばかり見ていたよ」

「大野君、折枝さんは風船の上から、ラビリンズを研究していたのかも知れない。上から覗けば、迷路の地図が、ハッキリ分るからね」

「だが、朝っぱらから、何を酔狂にそんなことを」