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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
それは兎も角、例の楽園のカーニバル祭という、馬鹿馬鹿しい催しの日が近づいて来た。その日こそ、「殺人遊戯の大団円の来る日だ。楽園のメンバーが皆殺しになるのだ」と、見えぬ殺人狂が予告した当日なのだ。
仮令それが一片のおどかしにもせよ。なにもそんな危険を冒してまで、カーニバル祭とかを催す必要はないではないか。と、読者諸君もお考えなさるだろう。警察の人々もそう考えて、園主治良右衛門を呼び出して、催しの中止を勧告したものだ。だが治良右衛門はどうしても応じなかった。残る三人のメンバーも園主と同意見であった。
「このカーニバル祭こそ、我々がジロ楽園を始めた時の、最大の目標であったのです。これを今中止すれば、楽園に投じた数十万金の資金が全く無駄になってしまうのです。恐らくあなた方実際家にはお分りにならないでしょうが、我々は浮世のことに飽き果てて、ただ美しい夢にあこがれ、夢に生きる人種なのです。そして美しい夢を見ながら、仮令命を失うとも、少しも悔いぬ人種なのです。それに、カーニバルの日に殺人が行われるなんて、取るにも足らぬおどし文句に過ぎません。本当に人殺しをする気なら、誰が予報なんぞするものですか」