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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
巨人の射的場を作ろうという訳です。都会の盛り場によく見かける例の射的場です。敷島やバットを積重ねて、射落したら景品に貰えるあれです」
と、段々話が夢みたいに、なごやかになって来たのである。
で、押問答の末、結局治良右衛門その他の云い分が通り、奇妙なカーニバル祭は兎も角挙行されることになった。何しろ相手が地方の大金持で、友人には有力な政治家などもいるものだから、警察の方が一歩譲らない訳には行かなかった。そして、実に面倒な次第であったが、カーニバルの当日は、警戒の為に数十名の警官を楽園内に派遣しなければならなかった。治良右衛門は傭人達に命じて、着々と大饗宴の準備を進めて行った。
ある日ジロ楽園の唯一の入口である、例のゴンドラ浮ぶ水門へ巨大な荷物が到着した。大砲だ。巨人の射的場の大砲だ。見た所野戦に使う本物の大砲と少しも違わぬ。御所車の様な車輪がついて青黒く不気味に光った鋼鉄製で、それを筏にのせて、造花で飾って、御神輿のお渡りみたいに川を遡り、楽園の中心の広っぱへと運んだものだ。
大砲の側には、フットボールの球程のキルク玉が巨人国のお月見団子みたいに積上げられた。