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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
地上万華鏡
あらゆる形状、あらゆる色彩がぶちまけられ、それが目まぐるしく活動していた。べら棒に巨大な万華鏡を絶え間なくグルグル廻している様な、恐ろしくも美しい光景であった。
軽気球が二つ、奇妙なお日様とお月様の様に、場内の東西の空に懸って、そこから、五色のテープが美しい雨と降り注いでいた。
花火の筒は絶間もなく音を立てて、尺余の紙玉が中空に炸裂し、五色に染めた紙の雪が、さんさんと降りしきっていた。
その中に、赤ペンキで塗られた巨大な観覧車が、大人国の風車の様に、グルグル廻り、浅草の十二階めいた摩天閣からは、場内の四方に万国旗が張りめぐらされ、その窓々には、真赤な旗が、首を出して、ユラリユラリと、火焔の様に燃えていた。
パノラマの丸屋根は、赤と青との原色で、子供のおもちゃみたいに塗りつぶされ、木立の彼方にチラチラ見える、巨大な紫色のものは、例のコンクリート造りの大鯨であった。
地底では、水族館の魚共と地獄極楽の生人形が、又夫々の痴態で踊り狂っているのだ。
そして、それらの目まぐるしき形と色の外に、花火の音を太鼓にして、ジロ楽園全体をゆるがす様な音楽が、耳も聾せんばかりに鳴り響いていた。