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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
恐ろしきランニング
だが、考えている内に、この考えが段々本当らしく思われて来た。
「治良右衛門なれば、この楽園の創立者なのだから、どんなカラクリを用意することも出来ようし、殺人の為のお祭り騒ぎを計画することだって自由自在だ。フフンなる程ね。これでこの事件の不可解な謎がすっかり解け相だぞ。あいつだ。あいつだ。俺は何という道化役を勤めていたことだろう」
木島氏はまだ悪夢から醒め切ってはいなかったけれど、犯人治良右衛門を捕えなければならぬという、職業上の責任感に追い立てられないではいられなかった。
彼は飛び上って、走り出した。丘を迂廻して、さい前治良右衛門の駈け去った方角へと、真青になって走り出した。
恐ろしきランニング
その時園内の別の広場では、来賓達の奇妙な徒歩競走が行われていた。
これも亦都合十人、紅白ダンダラ染めのユニフォームを着せられ、胸には1から10までの番号札をつけた紳士淑女が、向うの森の決勝点めがけて、オチニ、オチニ、息を切らして走っていた。
長距離だ。一千メートル。彼等は已に九百メートルを走った。
無論彼等も酔っぱらっていた。それ故苦しかった。
鼻眼鏡の紳士は、鼻眼鏡が落ちそうになるのを片手で押えながら、真赤な顔をして、ホウホウかけ声をして威勢よく先頭を切っていた。