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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
04 第二部下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页
の十二月中に代金を返済すればいいほどの格別な取り扱いを受けて来た。いよいよ廃藩置県が実現され、一藩かぎりで立てて置いた制度もすべて改革される日が来て見ると、明治四年を最後としてこれらの補助を廃止する旨の名古屋県からの通知があり、おまけに簡易省略の西洋流儀に移った交通事情の深い影響をうけて、木曾路を往来する旅人からも以前のようには土地を潤してもらえなくなった。この事情を当局者にくんでもらって、今度の改革を機会に享保以前の古に復し、木曾谷中の御停止木を解き、山林なしには生きられないこの地方の人民を救い出してほしい。これが最初の嘆願書の趣意であった。その起草にも半蔵が当たった。彼らがこれを持ち出したのは、木曾地方もまさに名古屋県の手を離れようとしたころで、当時は民政権判事としての土屋総蔵もまだ在職したが、ちょうど名古屋へ出かけた留守の時であった。そこでこの願書は磯部弥五六が取り次ぎ、岩田市右衛門お預かりということになった。いずれ土屋権大属帰庁の上で評議にも及ぶであろう、それまではまずまず預かり置く、そんな話で、王滝、贄川、藪原の三か村から出た総代と共に、半蔵は福島出張所から引き取って来た。