轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

04 第二部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页

青空文庫

いろいろと生家に掛けた費用のことを思い、世間の評議をも懸念して、これがもし実の孫子であったら、いかようにも分別があると言いたげな飽くまで義理堅い継母の様子は、ありありとその顔色にあらわれていた。お粂は、と見ると、これはわずかに活き返ったばかりの娘だ。せっかく立て直ろうとしている小さな胸に同じ事を苦しませるとしたら、またまた何をしでかすやも測りがたかった。この際、彼の取るべき方法は、妻のお民と共に継母をなだめて、目に見えない手枷足枷から娘を救い出すのほかはなかった。

「ますます単純に。」

その声を彼は耳の底にききつけた。そして、あとからあとから彼の身辺にまといついて来る幾多の情実を払いのけて、新たな路を開きたいとの心を深くした。今は躊躇すべき時でもなかった。彼としては、事を単純にするの一手だ。

そこで彼は稲葉氏あてに、さらに手紙を書いた。それを南殿村への最後の断わりの言葉にかえようとした。

「尊翰拝見仕り候。小春の節に御座候ところ、御渾家御揃い遊ばされ、ますます御機嫌よく渡らせられ、恭賀たてまつり候。降って弊宅異儀なく罷りあり候間、憚りながら御放念下されたく候。