轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おおえどおうごんきょう

大江戸黄金狂

野村 胡堂

「新青年」1939(昭和14)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 页

青空文庫

蔭から糸を引く者

お染は此処を通って、何処へ行ったことでしょう。

途方に暮れて、暫く立止っていると、サラサラと耳に爽やかな水の音が聴えます。龍之助はそれを聞くと、恐ろしい渇きに、喉が爛れるようになって居ることに気づきました。

這い寄って見ると、崖の上から落ちる一筋の山清水へ、誰が架けたか、青竹の樋が仕掛けてあって絹のような流れがチョロチョロと下へ落ちて居るではありませんか。

手で掬んで一と口、二た口、三口目は少し苦いように思いましたが、構わずに五口、六口と呑んで、ホッと息をつくと、

「あッ」

くらくらと眩暈がして、思わず草叢の上へ腰が落ちます。

ジーンと鳴いて行く秋の蝉、――側腹のあたりに、龍胆と梅鉢草が咲いているな――と思った切り龍之助は正気を喪ってしまいました。

蔭から糸を引く者

やや暫く経つと、同じ清水の傍に、山浦丈太郎が差かかりました。

山路は馴れた強健な足取りですが、秋の陽に照り付けられて、さすがに喉が渇いたものか、水の音を聞くと、吸い寄せられたように、岩清水の下に腰をおろしたのです。

山馴れのした丈太郎は、直ぐ側にある蕗の葉を一枚取って、裏表を透して汚れのないのを確かめると、器用に曲げて、盃を作りました。