轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おおえどおうごんきょう

大江戸黄金狂

野村 胡堂

「新青年」1939(昭和14)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 页

青空文庫

「まア、呆れたよ、この子は」

「精々呆れているが宜い、あとの三枚を持って来て、立て続けにそのまアまアって奴を聴かして貰うぜ」

「――――」

お滝も口がきけなくなりました。

「もう陽が落ちるぜ、辻堂の前へ行って待ってるが宜いや、あばよ」

ヒラリと身を翻すと、屏風岩から一足飛に降りて、あっと言う間もなく、小僧の影は杣道に消えました。

「姐御、甘くやって居るぜ」

「誰だい」

「貝の字」

入れ代って、ノソリと立ったのは、厄介の貝六の半裸体、自分の鼻を指してニヤリニヤリと笑うのです。

「貝の字も無いものだ、臭いよ、風上からじゃ、お目通りは叶わないよ」

お滝は以ての外の見幕です。

「いやにツンツンするじゃ無えか、贅は言わない、あの小僧に振舞った半分も笑顔を拝ましてくんねエ」

厄介の貝六はそんな事を言い乍ら、蟲喰い頭と大きな鼻を、心持前へ突出しました。

「お前さんにはお職過ぎるよ、――退いておくれ」

「此処は箱根の裏道だぜ、お滝、あんまり増長すると――」

「脅かす気かい、お止しよ、白糸のお滝には棘があるよ」

「その棘にさされて見たいよ、飛んだ逆上引下だ」

お滝は袖を楯にして、さすがに一歩退きました。